2024-06-04
不動産の「土地越境」の問題についてご存じですか?
土地越境は、「建物の一部や樹木などが隣接する土地の境界を越えている」ことを指します。
具体的には、隣地のブロック塀が境界を越えて自分の土地に侵入している場合や、
排水管などが侵入している場合なども土地越境にあたります。
『少しくらい侵入されていても特に使っていないエリアだし、隣人と揉めるのも面倒だからそのままでいいや』
と思われる方もいるかもしれませんが、これは危険です。
放っておくと所有権に関して大変なリスクを負うことになってしまいますので、
かならず早期に対応しなくてはいけない問題なのです。
この記事では、土地越境でどのようなリスクがあるか、そしてその解決方法について詳しくお話していきます。
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土地越境の問題が解決していない状態の場合、不動産を売却するときに売却価格が減少してしまう可能性が高いです。
不動産を売買するときには、不動産会社は購入希望者に現在の土地・建物の状況を正しく説明する必要があります。
その際に、土地越境されている(している)エリアがあるのは、
将来的なトラブルを生んでしまうということになりますので大きなマイナス要素になります。
意欲が下がり購入を諦める原因になるため、需要が下がり、
売却するために値段を下げざるを得なくなってしまうというわけです。
土地越境は、売買契約後に土地測量を行って発覚した場合、
契約解除や違約金などのケースに発展することもありますので、必ず事前にチェックしましょう。
売却する予定がなくても、土地越境を放置すると該当する土地の権利を失ってしまう可能性があるので注意です。
これは土地の越境には「時効」が存在しており、越境が続いている状態である条件を満たしてしまうと、
「取得時効(民法162条)」が成立し、土地の権利や義務が変動してしまうためです。
取得時効とは「他人の物を長期間占有しつづけることでその所有権を得ることが出来る」というものです。
少し理不尽に感じられるかもしれませんが、法律上では
『長期間、占有状態で問題がなかったんだからこの状態を続けた方が将来的にトラブルが少なくなるよね』
と考えられているため、このような規定が出来ています。
取得時効には「長期取得時効」と「短期取得時効」の2種類存在し、
長期取得時効と短期取得時効のどちらが適応されるかは
越境している側に越境している自覚があったか(過失として認められるか)によります。
越境している自覚がある(過失がある)場合は、長期取得時効となり20年間で時効成立となり、
自覚がなかった(過失がない)場合は短期取得時効となり10年間で時効成立です。
たった10年で自分の土地の権利を失ってしまったり、
当事者間で解決しない場合は法的な争いに発展することになりますので、
土地越境のトラブルはなるべく早期に解決するようにしましょう。
また、取得時効について簡単に説明しましたが、
詳しくは国民生活センターが発行しているコラムに分かりやすくまとまっていますので、
気になる方は下記よりご確認ください。
土地越境の問題を解決するための方法は大きく3つに分けられます。
越境物が除去できるようなら、これが一番楽な解決方法になります。
樹木の枝などが伸びて越境している場合は伐採したり、越境しているブロック塀なども業者に依頼して除去したり、
越境しないように出来ればそれで問題は終了です。
若干費用もかかると思いますが、将来的な大きなトラブルを未然に防いだと考えれば十分安いものでしょう。
越境物が簡単に除去できない場合、隣地の所有者と直接話し合い、
問題を友好的に解決するアプローチが次に考えられます。
境界線を再設定したり、越境している部分を買い取りすることなどが解決方法となるでしょう。
その際には、境界線を再設定するために、
土地家屋調査士や測量士などの専門家に土地測量・登記変更を依頼しておくのをおススメします。
これは「所有権界」と「筆界」の違いが関わってくるためです。
所有権界とは「当事者同士での話し合いで決めた境界」のことで、筆界は「登記上の土地の境界」を指します。
土地家屋調査士などに依頼するのは、話し合いで決定した所有権界に合わせて境界標を設置し、
筆界を再登記してもらう必要があるからです。
再登記することにより、見えている境界線と実際の境界線が異なることを防ぐことが出来ます。
将来的に同じような問題が起こらないようにするために、面倒でも依頼は怠らないようにしましょう。
話し合いだけで土地越境のトラブルが解決しきれない場合、法的な手段を取ることになります。
この場合、弁護士に相談し、必要な手続きを進めていきます。
最終手段として裁判を行うことになりますが、
法務局の「筆界特定制度」を使用することで比較的簡単に問題解決できることもあります。
筆界特定制度とは、「現在の土地の筆界の位置を専門家が特定する」制度のことを指します。
先ほどの登記変更とは反対に、現在の筆界を確認したうえで所有権界を決定する方法です。
裁判で土地越境の問題を解決するより、費用も安く済みますし、短期間で済ませることが可能になります。
土地越境の問題は、所有権の侵害や法的トラブルなど、さまざまなリスクを伴います。
ですが早期の対応と適切な解決方法を講じることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
境界確定の調査や隣地所有者との話し合い、法的手続きなどを活用し、
安心して土地を利用できる環境を整えましょう。
次のブログでは「土地越境している不動産を売却するときの注意点」についてお話していきたいと思いますので、
もうしばらくお待ちくださいませ。
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