2024-08-14
前回のブログ「建ぺい率と容積率の違い」の中で、「用途地域」について少し言及いたしました。
▼ブログ記事:それって建ぺい率?容積率?:知っておきたい不動産の基本用語集②
用途地域とは「都市計画法に基づいて、土地の利用目的に応じて分類された区域」のことを指します。今回のブログでは、どのような用途地域があるのか、その特徴や違いについて詳しくお話ししていきたいと思います。
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先ほど用途地域は利用目的によって分類されているとお話いたしましたが、
そもそもなぜ土地は用途地域によって分類されているのでしょうか?
用途地域は、その地域にどのような建物が建てられるかを分類・制限することで、
その地域の環境を安全で住みやすくなるように整える目的があります。
例えば、住宅が密集している地域に機械工場が建築されてしまうことを考えてください。
その地域の住民は騒音に悩まされることになったり、
工業機械による事故に巻き込まれるリスクも跳ね上がることになります。
工場を運営する会社にとってもクレーム対応の増加や安全確保のための
過剰な設備投資などが増えることでデメリットが大きくなります。
このように、双方にとって過ごしやすく、仕事がしやすいように、
ある程度法令で土地の利用目的を定めているのが用途地域というわけです。
ただし、このような目的によって分類されている関係上、
全ての地域で用途地域が定められているわけではありません。
都市計画法によって分類された「都市計画地域」「市街化調整区域」「準都市計画地域」の3つの中でも都市計画地域のみ、その中でも「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」に分けられた市街化区域のみ用途地域が定められています。
この都市計画地域や市街化区域などについては別のブログで解説しようと思いますので、
なんとなく『多くの人が住んでいたり住む予定になっている地域に用途地域が定められているんだな…』
とだけ思っていただけたら大丈夫です。
用途地域は現在13種類に分類されていますが、大まかに分けると下記の3つに分けられます。
まず住宅系の用途地域は、居住環境の保護を目的として設定されていて、
比較的静かで住みやすい環境となっています。
住宅系の用途地域はさらに8つの細かな分類があり、先ほどの3つの分け方の中で一番分類が多くなっています。
次に商業系の用途地域は、商業施設やオフィスビルなどの建築が奨励される地域です。
奨励されているだけですので商業系の用途地域にも住宅は建てることが出来ますが、
人の賑わいが多いため騒々しいことが多く住む人を選ぶかもしれません。
商業系の用途地域は2つに分類されています。
最後の工業系の用途地域は、工場や倉庫などの建設が中心となる地域です。
工業系の用途地域は3つに分類されています。
ではまず住宅系の用途地域の8つの分類についてお話していきます。
第一種低層住居専用地域は、低層住宅(高さ10~12mまでの住宅)のみ建築できるエリアで、
制限された高さに収まれば一戸建てだけでなくアパート等も建てられます。
一方で商業施設などの建築は厳しく制限されており、
非住宅部分が50㎡以下の定められた業種のみしか建てることが出来ません。
一般的なコンビニが50~60坪(約165~200㎡)と言われているので、
商業施設のほとんどが制限されることが分かるでしょう。
日常生活に必要な買い物等は不便に感じることも多いと思いますが、
閑静な住宅街に住みたい方には過ごしやすく感じるエリアかも知れません。
第二種低層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域と同様に低層住宅のみ建築できるエリアとなっていますが、
第一種より商業施設の制限が緩和されています。
非住宅部分が150㎡までの店舗が可能になりますので、コンビニや小規模のお店が建てられます。
閑静な住宅街と利便性を求める人におススメなエリアです。
第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅(3階建て以上)が建てられるエリアで、
中高層のマンションから学校・病院などの公益施設、2階以下で500㎡以内の商業施設の建設も可能になっています。
先ほどの2種類の低層住居専用地域より住居以外の建物の制限が緩和されていますが、
建てることが出来ない建物もあります。
例えば、騒音等で住環境を損なう可能性がある遊戯施設(パチンコ店・ボウリング場など)や、
オフィスビルなどの建築は出来ません。
第二種中高層住居専用地域は、第一種中高層住居専用地域と同様に中高層住宅が中心ですが、
2階以下で1500㎡までの商業施設まで建築可能になっていますので、より大規模な店舗や飲食店が認められています。
第一種住居地域は、前述の4つの分類より商業施設の制限が緩和されており、
3000㎡までの商業施設や事務所・ホテルなどが建てられるようになっています。
駅に近いエリアなどで制定されていることが多く、人の賑わいで騒々しく感じるかもしれませんが、
閑静な環境より生活の利便性を求める人にはおススメです。
第二種住居地域は、第一種住居地域で建築可能な建物に加えて、
カラオケボックスやパチンコ屋などの遊戯施設の建築も認められています。
第一種住居地域と比較してもにぎやかになりますので、遊ぶことが多い1人暮らしの人などに向いているエリアです。
準住居地域は、道路の沿道において自動車関連施設やこれと調和した住居の環境を保護するための地域で、
住居系の用途地域の中でも最も制限が緩和されているエリアです。
第二種住居地域で建築可能な建物に加えて、商用倉庫や客席200㎡以下の劇場や映画館、
作業場面積150㎡以下の自動車修理工場などの建築が認められています。
田園住居地域は、農業と住環境の調和を考慮した地域です。
そのため、建物の制限としては第一種低層住居専用地域に近く、限られた住宅しか建築することが出来ません。
ただし、農業との相関性を高めるために、2階建て以下の農家レストランや直売所なども建築できますし、
高校までの教育機関や図書館・病院なども建築することが出来ます。
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次に商業系の2つの用途地域についてお話していきます。
近隣住民の生活利便性を考慮した地域で、スーパーや小売店、レストランなどが立ち並びます。
住宅系の用途地域で最も制限が緩和されている準住居地域よりも制限が緩和されている用途地域で、
店舗や事務所・映画館などには床面積の制限が設けられていません。
また、制限はありますが、工場も建設することが可能です。
このように日常生活の利便性が高い近隣商業地域にも住宅の建築は可能ですが、
住宅系の用途地域よりも騒々しくなりますので、建築する前に入念に計画しましょう。
商業地域は近隣商業地域よりも制限が緩和され、
銀行や百貨店などのような都市の商業活動を支える施設が集まる地域です。
商業地域にも住宅は建てられますが、基本的に商業施設が優先され住環境は重視されませんので、
住みやすいかどうかは人を選ぶ地域でしょう。
最後に工業系の3つの用途地域についてお話していきます。
準工業地域は危険性や環境悪化が比較的小さめな軽工業や小規模な工場が建設される地域です。
工業地域に位置付けられていますが、住宅や商業施設や教育機関の建築も許可されているため、
比較的多用途な利用が可能です。
工業地域は工場の種類の制限がなくなりどんな工場でも建設可能になっている地域で、
重工業から軽工業まで幅広い用途に対応しています。
住宅や店舗は建築可能ですが、ホテルや教育機関などの施設は許可されていません。
工業専用地域はその名の通り工場のための用途地域で、
環境悪化の危険性が大きい業種も含めて工場も建築可能です。
工業専用の用途地域であるため、住宅・商業施設・ホテル・教育機関などの建築は認められていません。
用途地域の違いは、土地の利用方法や建物の設計に大きな影響を与えます。
住宅系、商業系、工業系の各用途地域には、それぞれ異なる特徴と規制があり、
これらを理解することは、不動産購入や開発計画を成功させるために不可欠です。
自分の理想の暮らしがあっても用途地域が噛み合っていなければ実現できないこともありますので、
用途地域の制限を理解し、自分の目的に合った土地選びを進めていきましょう。
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