2024-05-28
前回のブログ記事では「再建築不可物件の特徴」について、メリット・デメリットに触れながらお話していきました。
前回の記事をご覧になっていない方はコチラを先にご確認ください。
再建築不可物件とは、「法律や条例の規制により新たに建物を建築することができない物件」のことです。
しかし、これらの物件にも救済措置が存在し、特定の条件を満たすことで再建築を実現する方法があります。
この記事では、再建築不可物件の救済措置と再建築を可能にするための具体的な方法について詳しく解説します。
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まず前回のブログ記事でも触れたことではありますが、
再建築不可物件は「その土地が建築基準法上の接道義務を果たしていない」ため、
再建築が出来ないとされているケースがほとんどです。
また接道義務は「原則として幅員(道路の幅)4m以上の道路に、2m以上接した敷地(土地)のみ建築可能」
というものとお話ししましたが、実際に下記の図で、A~Dの物件(土地)を例にして考えて見ましょう。
まずAの物件(土地)ですが、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していますので、問題なく再建築が可能です。
Aでは2つの道路に接していますが、条件を満たす道路が1つでもあれば再建築は可能です。
次にBの物件(土地)ですが、敷地が幅員4m以上の道路に接してはいるものの、
接道が2m未満のため、再建築不可物件となってしまいます。
次はCの物件(土地)ですが、こちらは接道自体されていませんので再建築不可物件です。
最後にDの物件(土地)は、2m以上接道はしているものの、接道している道路が4m未満の道路であり、建築基準法上の道路とはみなされないので、残念ながら再建築不可物件となってしまいます。
つまりこの場合、A~Dの物件で再建築が可能なのはAの物件のみで、B~Dの物件は再建築不可物件とみなされます。
ちなみに、『そうは言っても接道義務を果たしていない物件なんてそうないでしょ…』
と思われるかもしれませんが、実は意外と多く存在します。
下のグラフは政府が行っている住宅・土地統計調査(平成30年)のデータです。
データを見ると、全国の住宅数の2%(約100万戸)が接道していない住宅となっています。
また、接道している98%の住宅のうち、
31%(1660万戸)が幅員4m未満の道路にしか接道していないことも分かると思います。
すなわち、接道義務や再建築不可物件の救済措置については意外と身近なもので、
自身の不動産購入・売却に関わってくる可能性もあります。
出来れば知識としてちゃんと抑えておいた方がよい内容だと言えるでしょう。
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では、B~Dのような再建築不可物件で、再建築を可能にするにはどうすればよいでしょうか?
この救済措置には大きく分けて3つの方法があり、順々に紹介していこうと思いますが、
どれも手間がかかる方法であることはあらかじめお伝えしておきます。
※また、すべての物件が再建築可能になるわけではありません。
この方法が最もシンプルなやり方になりますが、
「隣接地を借りる、もしくは購入する」ことで敷地の接道義務を果たす方法があります。
先ほどのB~Dの物件を例にすると、下図のように斜線部分の土地を借りるor購入することで、
建築基準法上の道路に接するようになり、再建築が可能になります。
ただし、隣接地を借りるにしても購入するにしても取得するのに費用がかかりますし、
隣接地の現オーナーを探して交渉もしなくてはいけませんので、手間もかかることは理解しておきましょう。
前回の記事で少し触れた、「42条2項道路」にするのが次の再建築が可能になる手法です。
42条2項道路とは、その名の通り建築基準法の第42条2項に該当する道路のことで、
42条2項は下記のような文となっています。
都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
出典://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201
つまり、
であれば、「道路の幅員4mを確保するために、敷地を後退させる」を行うことで
特別に隣接する土地に再建築を承認しますよ、ということを定めています。
この敷地を後退させる行為を「セットバック」と言います。
セットバックを行うことで再建築が出来るようになるわけですが、
その他にも下記のような影響がありますので、こちらも確認しておきましょう。
※さらに幅員1.8m未満の道路を対象とする場合、さらに「建築審査会の同意」が必要になりますので、
該当の物件の購入を検討している場合は、あらかじめ不動産会社に確認しておきましょう。
ちなみに先ほどの例だとBの物件が、
セットバックを行い接道している道路が42条2項道路に認定されることで、再建築が出来るようになります。
建築基準法第43条の「但し書き道路」の許可申請が通ることでも再建築が可能になります。
まず建築基準法第43条とは下記のように、再建築不可の例外対象について定めている法令です。
前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一:その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二:その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの)
出典://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201
大事なのは2番で、以下の3つの条件を満たし、申請が許諾されることで、
接している道路が但し書き道路と認められるため、再建築が可能になります。
条件はなかなか複雑ですし、満たさなければいけない条件も多いですが、
先ほどの2つの救済措置と比べてデメリットが少ない手法と言えます。
再建築不可物件は、基本的には再建築できず取り扱うには難しい物件ですが、
適切な救済措置を講じることで再建築が可能になることがあります。
ただし、どの物件でも再建築が可能になるわけではなく、
許可を取るには手間がかかったり費用が掛かったりもしますので、
不動産会社など専門家の協力を得ながら計画を進めることが重要です。
再建築不可物件をお持ちの方や、購入を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしていただけると幸いです。
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