2024-06-24
前回のブログでは、「不動産売却における税金の知識」についてお話いたしました。
まだご覧になられていない方は、お先にこちらの記事からお読みください。
▼▼ 前回の記事はこちら ▼▼
不動産売却における税金の知識
不動産売却においては様々な税金が発生しますが、
不動産売却の中でもマイホーム(=居住用財産)を売却したときは、
条件を満たすことで税負担を大幅に軽減可能な特例を利用することができます。
この記事では、マイホームを売ったときに利用できる下記の5つの特例についてお話していきます。
これらの5つの特例は、併用できるものと併用できないものがありますので、分けて詳しく説明していきます。
\お気軽にご相談ください!/
マイホーム(居住用財産)の5つの特例についてお話しする前に、マイホームの定義について触れておきます。
マイホームは税務上は居住用財産として呼ばれ、
以下のいずれかの要件を満たす不動産がマイホーム特例を利用することが出来ます。
詳しくは国税庁HPからご確認できますので、気になる方はこちらからご確認ください。
▼出典:国税庁HP「マイホームを売ったときの特例」
まずマイホーム特例の中でも併用できる2つの特例についてお話していきます。
マイホームを10年以上所有している場合、譲渡所得税の軽減税率が適用されます。
こちらについては以前のブログ記事で詳しく触れておりますので、今回は割愛します。
▼ブログ記事:不動産売却における税金の知識
マイホーム特例の中で最も有名な特例が「3,000万円特別控除」かと思います。
これは、自宅を売却した際に得た譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。
この特例は所有期間の長短によらず利用することが出来ます。
またこれらの特例は併用可能なので、物件によっては「3000万円特別控除」と
「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の特例の両方を利用することが可能です。
その場合の控除額は3000万円特別控除の計算から先に行われて決定されます。
例えば10年超の居住用財産の売却で1億円の譲渡所得を得たケースですと、
まず3000万円特別控除が適応され課税対象の譲渡所得が7,000万円に軽減されます。
その次に譲渡所得の軽減税率が適応されることになります。
ではこのケースで、
①マイホーム特例を適応しなかった場合 ②2つのマイホーム特例を利用した場合
の2パターンで支払う所得税・住民税を計算してみましょう。
①マイホーム特例を適応しなかった場合
所得税 = 10,000万円×15.315% = 1531.5万円
住民税 = 10,000万円×5.0% = 500.0万円
合計 = 1531.5万円 + 500.0万円 = 2031.5万円
②2つのマイホーム特例を利用した場合
所得税 = 6,000万円×10.21% + 1,000万円×15.315% = 765.75万円
住民税 = 6,000万円×4.0% + 1,000万円×5.0% = 290.0万円
合計 = 765.75万円 + 290.0万円 = 1055.75万円
このように、今回のケースでは最終的に支払う税金が1,000万円ほど変わってきてしまうことになりますので、
マイホーム特例を使える時は積極的に活用していきましょう。
次にマイホーム特例の中でも併用できない3つの特例についてお話していきます。
3つの中で2つ以上同時に使えないことはもちろんのこと、
3000万円特別控除などの併用できるマイホーム特例とも一緒に利用は出来ませんので注意が必要です。
「特定居住用財産の買換え特例」は、マイホームを買い替えて譲渡益が発生した時に、
一定の要件を満たしていれば譲渡益に対する課税を繰り延べることが出来る制度です。
不動産A(購入金額1,000万円)を費用200万円をかけて2,000万円で売却、
その後に不動産B(2,500万円)に買い替えた時を具体例として見ていきましょう。
この時、将来的に不動産Bを費用300万円で3500万円で売却出来るとすると、資金の流れは下記のようになります。
※減価償却などは説明の都合上考慮しておりません
①不動産Aを購入:購入費用1,000万円
②不動産Aを売却:売却額2,000万円・譲渡益800万円(2,000万円-(1000万円+200万円))
③不動産Bを購入:購入費用2,500万円(売却額2000万円+持ち出し500万円)
④不動産Bを売却:売却額3,500万円・譲渡益700万円(3,500万円-(2500万円+300万円))
この時、②の段階で譲渡益が発生しているため、本来はここで譲渡益に対する税金を支払わなければいけません。
しかし、③でマイホームの買い替えをした際に、「不動産Aの売却額より不動産Bの購入費用が高くなっている場合」は、②で生じる課税を繰り延べることが可能になります。
特例を使用して繰り延べた場合は、②の時の税金の支払いは④の時にまとめて支払うことになります。
上記のケースですと、④の時に1500万円(②800万円+④700万円)が譲渡益として計算されます。
この特例は、税金の支払いとマイホームの買い替えによる持ち出し分の支払いが重なり、
経済的に負担になってしまうのを防ぐ意味合いがあります。
ただし、注意しないといけないのは、あくまで課税を「繰り延べている」だけで、
「なくなっている」わけではないことです。
マイホームに住んでいる間は支払い義務は生じませんが、
賃貸などに住み替えたりした時点で支払い義務が発生するので気を付けましょう。
また、③でのマイホームの買い替えの時に、「不動産Aの売却額の方が不動産Bの購入費用より高い場合」も特例を使用することで、差額分のみを収入金額として譲渡所得の計算が出来るようになります。
この特例の細かい要件に関しては、長くなりますので国税庁HPからご確認いただければと思います。
▼出典:国税庁HP「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
▼出典:国税庁HP「売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき
先ほどのはマイホームの買い替えにより譲渡益が発生した場合の特例でしたが、こちらはマイホームを売却した際に譲渡損失が発生した場合、その損失を翌年以降の所得から控除することができる制度になります。
この繰越控除により売却時の損失を最大3年間繰り越すことが出来ます。
譲渡損失はその年の給与所得や他の所得などと合算することが出来ますので、
その分支払う住民税や所得税を減らすことが出来ます。
こちらも細かい要件につきましては、国税庁HPでご確認ください。
▼出典:国税庁HP「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」
先ほどの特例はマイホームからマイホームへ買換えをして損失が生じた際に利用できる特例でしたが、
こちらは買換えしなくても利用できる特例になります。
「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は住宅ローンのあるマイホームの売却額が住宅ローン残債より少なく、譲渡損失が発生した場合に適応できる制度です。
こちらも他の所得から控除(損益通算)出来たり、
損益を翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)することが出来ます。
細かい要件に関しては、国税庁HPからご確認ください。
▼出典:国税庁HP「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」
長くなりましたがご覧いただきありがとうございました。
マイホームを売却する際には税金の支払いが不可欠になりますが、
適用できる特例を活用することで、税負担を大幅に軽減することができます。
5つの特例を上手に利用し、効率的な税務計画を立てましょう。
ただし、マイホーム特例は配偶者や直系親族への売却では使用できなかったり、
3年以内にマイホーム特例を使用していた場合は再使用出来なかったり、
ここでは書ききれていない細かい要件も多く存在します。
必ず不動産会社に相談したうえでマイホーム特例を活用していきましょう。
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