契約不適合責任について②:免責の条件と売主が注意するポイント

八王子 不動産 契約不適合責任


前回のブログ記事では、「契約不適合責任」について、主に「瑕疵担保責任」との違いについてお話いたしました。
今回のブログも契約不適合責任についてのお話になりますので、
前回の記事をご覧になっていない方はまずコチラをご確認くださいませ。

▼ブログ記事:契約不適合責任について:瑕疵担保責任との違い

今回のブログでは、契約不適合責任についてもう少し深堀りしてお話していきます。


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契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、2017年の民法改正により従来の「瑕疵担保責任」から変更されたもので、
「売主が買主に対して契約内容に適合しない物件を引き渡した場合に負う責任」のことを指します。

契約不適合責任の通知期間

前回のブログでは、契約不適合責任の通知期間について、
「契約不適合を確認してから1年以内に売主に通知」と記載しましたが、実際はこれだと不正確です。
厳密には契約不適合の内容によって通知期間は異なってきます。

「品質」「種類」の契約不適合のケース

契約不適合責任の中でも品質・種類が原因となる場合は、
「買主が契約不適合を確認した時点から1年以内に売主に通知をする」必要があります。

通知さえすれば請求行為は1年を過ぎても問題ないですが、
民法には「消滅時効」というものがありますので期限は存在します。
「契約不適合を確認してから5年or取引から10年」が消滅時効になりますので、
期限を過ぎないように注意しましょう。


ちなみに品質・種類の契約不適合は下記のような場合です。

品質・種類の契約不適合
●品質の契約不適合 契約で決められた目的物の品質より、実際の目的物の品質が劣っている 例:)床の木材が比較的高価なヒノキではなく安価なブナが使用されていた
●種類の契約不適合 契約で決められた目的物と、実際の目的物が異なっている 例:)アイランド型キッチンの予定が通常のキッチンが備え付けられていた

「権利」「数量」の契約不適合のケース

契約不適合の中でも権利・数量が原因となる場合は、上記の通知期間の制限がなくなります。
つまり、買主は消滅時効の範囲内ならいつでも通知・請求行為が行えることになります。

ちなみに権利・数量の契約不適合は下記のような場合です。

権利・数量の契約不適合
●権利の契約不適合 契約で決められた目的物の権利が、実際の目的物の権利内容と相違している 例:)契約上定められた土地の一部が他人名義となっていた
●数量の契約不適合 契約で決められた目的物の数量より、実際の目的物の数量が過剰or不足している 例:)土地面積が150㎡で契約したが、再度測定したら140㎡しかなかった

特約による通知期間の変更について

しかし、実際にはこれまでお話していた通知期間について、そのまま適応されることは珍しいです。
これは売買契約には「特約」を定めることが出来るためです。
特約は「通常の売買契約の条項とは別に売主・買主間で特別に設ける約束事」のことを指します。
売主・買主間で合意があり、特約を明示すれば契約不適合責任の通知期間を3ヶ月に縮小していることが多いです。


これは、売主が個人の場合は、法令等の制限がないため、
両者の合意があれば期間を変更できるようになっているためです。
3ヶ月という期間が一般的なのは、旧法令である瑕疵担保責任からの慣習の側面が大きいです。


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契約不適合責任の免責について

八王子 不動産 契約不適合責任

前回のブログ記事で「契約不適合責任に変わったことで、買主の補償内容が厚くなり売主の責任が重くなった」
とお伝えいたしました。
しかし、契約不適合責任は一定の条件下では免責することが出来ます。


契約不適合責任を免責する際は、
売主が①個人の場合②宅建業者(不動産会社)の場合③その他法人の場合、
この3パターンでそれぞれ異なります。

①売主が個人の場合

売主が個人の場合は、売主の任意で免責特約を設定することが出来ます。
先ほどお話した特約を売買契約時に明示し、買主の合意が取れれば契約不適合責任を免責することが出来ます。

ただし、売主が売買契約前に契約不適合があることを知っていながら買主に説明しなかった場合、
契約不適合責任の免責特約を作成していても無効になってしまう場合もありますので注意しましょう。

②売主が宅建業者(不動産会社)の場合

売主が宅建業者(不動産会社)の場合は、
個人の場合と異なり契約不適合責任を免責する特約を設定することは出来ません。

これは宅地建物取引業法第40条が関係しています。


(担保責任についての特約の制限)
第40条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治29年法律第89号)第566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2. 前項の規定に反する特約は、無効とする。


つまり、契約不適合責任の通知期間を「引き渡しから2年以上」とする特約を定める義務があり、
買主が不利となる特約を定めることは出来ません。

③売主がその他法人の場合

売主が宅建業者ではないその他の法人の場合も、契約不適合責任の免責特約を設定することは出来ません。
これは消費者契約法第8条・第10条により、
個人の買主にとって明らかに不利な契約が出来ないように定められているからです。
一般的には契約不適合責任の通知期間を「引き渡しから1年」とするのが多いです。

また、消費者契約法に関してご興味がある方は下記からご確認ください。

消費者契約法

契約不適合責任で売主が注意するポイント

八王子 不動産 契約不適合責任

契約不適合責任を回避するためには、以下のポイントに注意することが重要です。

契約書に特約を制定する

売主が契約不適合責任のリスクを回避するために最も効果的なのは、
前述した契約不適合責任の特約を売買契約書に明記することです。

中古物件は築年数が古くなればなるほど欠陥が生じやすくなるため、
その分売主の保証リスクも高くなってしまいます。
買主を保護するための契約不適合責任ではありますが、買主にもある程度の許容を求めることで
売主・買主ともに納得のいく契約とすることが出来ます。

物件調査を事前に綿密に行う

必要であれば売買契約前に物件の状態を事前に調査し、不適合がないか確認することも重要になります。
一番知られているのは「ホームインスペクション」による住宅診断です。
ホームインスペクションに関しては後日別のブログにて詳しくお話していこうと思います。

まとめ

契約不適合責任は、不動産取引において売主と買主の双方にとって重要な概念です。
特に売買契約時の特約を適切に利用することで、契約不適合責任を免責したり通知期間を縮小したりして、
売主の保証リスクを軽減することが出来ます。
ホームインスペクションを活用することもリスクを軽減するために有効ですので、
不動産会社に相談したうえで必要であれば行いましょう。

私たち「みどり不動産」は空き家と空き地、相続物件の売却に特化した八王子市の会社です。
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