2024-07-23
2024年4月の不動産登記法の法改正により、
相続登記(相続による所有者登記)が義務化されたのはご存じでしょうか?
▼法務局:「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」
相続登記の義務化とは、
「相続が発生した際に、相続人が相続した不動産の所有権を正式に登記する」ことを法律で義務付ける制度です。
今回の法改正までは、相続登記は「いつまでにしなくてはいけない」決まりもなく、
ましてや「必ずしなくてはいけない」ものでもありませんでした。
今回のブログでは、法改正に至るまでの背景や内容・相続登記の手続きについて詳しくお話していきます。
\お気軽にご相談ください!/
相続登記の義務化が導入された背景には、全国的な空き家問題があります。
前回のブログでもお話した「空き家対策特別措置法の改正」の内容にも、
所有者不明の空き家の修繕・処分が円滑に行えるような改正内容がありましたが、
相続登記の義務化の法改正も同様の趣旨によるものになります。
前回のブログ「空き家対策特別措置法の改正」については、まだご覧になっていない方はこちらからご確認ください。
▼ブログ記事:空き家対策特別措置法の改正とは?:改正の背景と内容を徹底解説
相続登記が行われないと、不動産の所有者が不明確になり、管理が行き届かない空き家が増えることになります。
このような空き家は、倒壊の危険や衛生問題・景観の悪化など、地域社会に多くの問題を引き起こしますし、
所有者を見つけるために多大な費用と時間がかかってしまいます。
相続登記の義務化により、所有権不明の空き家を少しでも減少させ、
このような空き家問題の解決を図ることが期待されています。
それでは相続登記の申請義務化について、詳しい内容と怠ったときのペナルティについて触れていこうと思います。
今回の不動産登記法の法改正により、相続登記の申請は下記条件を守らなくてはいけなくなりました。
「相続の開始を知る」「その所有権を取得したことを知る」とややこしく2つの条件に分けていますが、
これは「相続は終了したが、所有権が自分にあることをしばらくの間知らなかった」ケースが考えられるからです。
この場合は「相続した日ではなく所有権が自分にあることを知った日」から考えて
3年以内に所有権移転の登記をすれば問題ありません。
前述の期間内に相続登記を行わなかった場合、
所有者には10万円以下の過料(金銭の支払い)が課せられる可能性があります。
相続による所有権の取得を知った際は、速やかに相続登記申請を行うようにしましょう。
【補足】
罰金には「科料」と「過料」の2つが存在します。
どちらも読み方は「かりょう」ですが、2つは似て非なるものです。
「科料」は刑事罰が下ったときに金銭を支払うことで、刑事罰には前科が生じます。
対して「過料」は行政上の秩序罰が下ったときに金銭を支払うことで、
どちらも金銭の支払いには変わりありませんが、過料の場合は前科は付きません。
\お気軽にご相談ください!/
では相続登記の申請はどのように行えばよいでしょうか?
不動産登記のプロである司法書士に依頼すれば相続登記申請は問題なく進められますが、
ご自身で行う場合は大まかに以下の3つのステップが必要になります。
相続登記の申請をするには、まず相続予定の不動産の詳細情報を把握しなければいけません。
特に、相続する不動産に抵当権が付いているかどうか、
他の所有者は存在するのかの2点は重要ですので必ず確認しましょう。
抵当権付き不動産を相続する場合は、債務の引継ぎを行うことになりますから、
資産より負債が多い場合は相続放棄を検討しなくてはいけません。
ただし、住宅ローンが完済されているが抵当権の抹消手続きが済んでいないために
抵当権が残っているパターンもありますので、抵当権の内容はしっかり確認するようにしましょう。
また、相続する不動産に他の所有者がいる場合は、故人の持ち分のみを相続することになります。
この場合、不動産は共有名義での所有になりますので、
売却・賃貸・解体などの手続きをする際は全員の許諾が必要です。
相続する不動産の詳細を確認したら、必要書類の準備と申請書の作成が必要になります。
相続登記は「法定相続分の相続」「遺産分割協議による相続」「遺言書がある相続」の3パターンあり、
どの相続を行うかによって少しずつ必要となる書類が異なってきます。
どのケースでも必要となってくる書類は下記です。
法定相続分の相続を行う場合は上記の他に特別なものは必要ありません。
遺産分割協議による相続で複数の相続人がいる場合は、
事前に「遺産分割協議書」「印鑑証明書」も用意する必要があります。
遺産分割協議書は「相続人全員で遺産分割の方法を話し合い、合意した内容をまとめ、
相続人全員の署名・押印がされた書類」です。
印鑑証明書は遺産分割協議書に押印された印鑑に関するものが必要になります。
遺言書がある相続の場合は、もちろん「遺言書」の準備が必要になります。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、
どの遺言書に関しても所定の要件を満たしていない場合には登記申請に使用することは出来ません。
また、相続人以外の代理人が登記申請を行う場合は、
上記書類とは別に委任状が必要になりますので忘れないようにしましょう。
詳細についても法務局HPに細かく記載がありますのでこちらからご確認ください。
▼法務局:「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」
必要書類を準備したら管轄の法務局に行き相続登記の申請を行います。
どこの法務局でも申請手続きが行えるわけではなく、相続する不動産を管轄する法務局でしか登記申請は行えません。
また相続登記には、必要書類の提出の他に登録免許税の支払いが必要になります。
登録免許税は、不動産の固定資産評価額の0.4%と定められており、
例えば5000万円の固定資産評価額の不動産を相続する場合は20万円の登録免許税を支払わなくてはいけません。
相続登記の義務化は、空き家問題の解決に向けた重要な取り組みです。
相続人が適切に登記を行い、不動産の所有権を明確にすることで、
改正された空き家対策特別措置法と合わせて空き家の適切な管理の促進が期待されます。
不動産所有者としては、相続登記の義務化に備えて、必要な手続きを理解し適切な対応を行うことが重要です。
司法書士に依頼すれば円滑に相続登記を行えますので、
権利関係が複雑だったり書類準備の時間が取れなさそうなら依頼することを検討しましょう。
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