2025-07-31

皆さんは「地上げ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
地上げとは、「特定の土地やエリアを開発目的で一括取得するために、既存の土地所有者や借家人に立ち退きを求めて土地を買い集める行為」のことを指します。
バブル期の日本では、再開発や大型商業施設の建設に伴い、強引な地上げが頻発し、社会問題にもなりました。
現在は法整備が進み、かつてのような強引な手法は減少しています。
ただ依然として地上げは一部の開発現場で行われています。
今回のブログでは、このような一般的な地上げについて詳しくお話していこうと思います。
(不動産会社が別途行う地上げもありますが、こちらは次の機会に詳しくお話ししようと思います。)

まずなぜ地上げをする必要があるのか、ということですが、再開発プロジェクトや大規模な都市計画では、複数の地権者が所有する土地をまとめて取得する必要があるためです。
必要な土地を全て所有していないと土地の上に建物を建てることすら出来ません。
しかし、すべての地権者が一斉に売却に応じるとは限らず、計画の進行が妨げられることもあります。
特に都市部では地価が高く、地権者の意向も多様であるため、調整には多大な時間と労力がかかります。
そこで、開発事業者やその代理となる不動産業者が個別に交渉し、できるだけ安く、早く土地を集めるために地上げを行うこともあります。
また地上げには、法的には問題のない正当な交渉の範囲で行われるケースと、グレーな手法が用いられるケースがあります。
実際、「地上げ=グレー」と思われる人も多いのではないでしょうか?
たとえば、市場価値を上回る価格提示で早期の合意を得る方法は、交渉としては一般的で、これはもちろん正当な交渉の範囲です。
しかし、競合する買主を排除するために囲い込みを行ったりするなど、競争を妨げる手法も見られることがあります。
囲い込みに関してはこちらのブログ記事をご確認ください。
▼ブログ記事:両手取引の問題点とその対策:「囲い込み」って??
また、立ち退きを渋る住民に対しては、心理的プレッシャーをかけるような方法が取られる場合もあります。
少数がこのような悪いイメージの手法を用いてしまっているため、地上げという言葉がネガティブな印象につながってしまっています。

現在の法律では、脅迫や不当な圧力を伴う地上げ行為は違法とされており、場合によっては刑事事件として扱われることもあります。
具体的には、強引な交渉や繰り返しの訪問、虚偽の情報を用いた取引などがこれに該当します。
このような行為は不動産業法や刑法に抵触する可能性があり、業者にとってもリスクの高い行動です。
とはいえ、法の網をかいくぐるような「ぎりぎり合法」な交渉術が存在するのも事実です。
例えば、土地の周囲の物件を先に取得して周辺環境を変化させ、対象の地権者に不安を与えるような戦略も一種の心理的圧力といえるでしょう。
また、立ち退きを急がせるために建物の老朽化を強調するなど、合法の範囲内でありながら実質的には強制力を持つような手法も少なくありません。
近年では、前述したグレーなやり方ではなく、地域住民や自治体との合意形成を重視したアプローチが増えてきました。
これは単に土地を取得するだけでなく、地域の将来像や生活環境の改善に配慮しながら進められる方法です。
特に再開発が地域活性化や防災機能の向上といった公共性を伴う場合には、住民との信頼関係が非常に重要になります。
このような協調型の手法では、住民説明会や事前協議を丁寧に行い、納得感のあるプロセスを経て土地取得を進めることで、トラブルのリスクを低減しています。
また、住民側の意見を取り入れた開発計画とすることで、地域全体の満足度を高め、長期的にはプロジェクトの成功率も高まる傾向があります。
行政と連携しながら透明性の高いプロセスを維持することが、現代の地上げにおいては不可欠となってきているのです。
地上げはグレーなイメージが付きがちな不動産用語ですが、近年はそのようなやり方が少なくなり、地域住民にも満足感が高いやり方にシフトしてきています。
「地上げなんてあり得ない!」なんて頑なに否定するのではなく、時代に合わせて手法が変わってきていることも覚えておくと役に立つ時が来るかもしれません。
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