2024-07-21
以前のブログで「特定空き家」についてお話いたしました。
まだご覧になっていない方はコチラからご確認ください。
▼ブログ記事:避けたい"特定空き家"指定:その基準とリスク
特定空き家についてお話しする中で、特定空き家のリスクの1つとして「行政代執行」について少し触れました。
今回のブログでは、その行政代執行とはどのようなものなのかについて深堀してお話していこうと思います。
\お気軽にご相談ください!/
空き家の行政代執行とは、
「地方自治体が所有者に代わって問題とみなした空き家に関して強制的に措置を行う」ことを指します。
これは、特定空き家とされる物件に適用され、最終的には所有者に費用が請求されます。
しかし、行政代執行はある日急に行われるわけではなく、
いくつかプロセスを踏んだ後の最終手段として決行されます。
空き家の行政代執行のプロセスは以下の通りで、
詳細は「行政代執行法」にて定められていますので、詳しくはコチラをご確認ください。
▼法令検索:「行政代執行法」
自治体が空き家の状況を調査し、危険性や衛生面の問題がある場合に特定空き家として認定します。
特定空き家は「空き家等対策特別措置法」に基づいて判断され、
下記条件を満たすと特定空き家として認定されてしまいます。
特定空き家に認定されると、行政から改善するよう助言が行われます。
この時点では、法的な効力などはなく、あくまで「近隣住民から○○に苦情が入ってますので直してくださいね」
と言った程度のもので、対応するかどうかは所有者の判断に委ねられています。
所有者が助言に従わない場合や、苦情箇所が悪化している場合は、行政からの指導が入ってきます。
指導は強い助言と言った意味合いになるので、ここでもまだ法的拘束力はありません。
ただ、この時点で所有者が該当箇所を修繕・改善すれば、特定空き家の認定をすぐに取り消してもらえる可能性もありますので、可能な限りこの時点で対応するようにしましょう。
助言・指導があっても所有者が該当箇所の対応をしない場合、
認定された特定空き家の所有者に対して改善勧告が出されます。
勧告は、強い助言・指導の意味合いであり、まだ法的拘束力はありません。
しかし、勧告が出されると「住宅用地特例」の適応対象外となってしまい、
固定資産税や都市計画税の優遇措置がなくなってしまい、支払う税金の額が跳ねあがってしまいます。
詳しくは国土交通省が出しているこちらのページをご覧ください。
▼国土交通省:「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
勧告を出されても所有者が従わない場合、法的効力が生じる命令が行われます。
正当な理由がなく命令に従わなかった場合は、所有者に50万円以下の罰金が科される可能性があります。
勧告を出しても該当箇所に改善が見られない場合、行政から戒告文書が出されます。
戒告文書には行政代執行を行うまでの最後の猶予期間が定められています。
これに従わなかったり、猶予期間内に改善措置が完了する見込みがないとみなされた場合に行政代執行が行われます。
戒告文書に示された猶予期間内に改善がされなかった場合は行政代執行が行われます。
行政代執行は最初に「代執行令書」と言われる通知文書が届き、
そこには行政代執行の時期や費用の見積額が示されています。
行政代執行では、自治体が代わって必要な措置(解体、修繕、撤去など)を実施しますが、
この費用は一般的な措置費用よりかさむ場合が多いです。
場合によっては1000万円以上になることもありますので、
行政代執行が行われる前に必ず行政の指示に従い、該当箇所の改善をしましょう。
行政代執行が完了すると、所有者のもとに生じた費用の請求書(納付命令書)が届きます。
こちらの費用を支払わないと財産の差し押さえに繋がりますので、
請求書が届き次第速やかに支払うようにしましょう。
ちなみに、行政代執行の費用は破産によってなくなることはありません。
行政代執行の費用が税金から捻出されている関係上、滞納した税金と同様に強制徴収が認められています。
破産したとしても支払い義務は残り続けますので、
行政代執行が生じてしまうと費用は必ず支払わなければいけないという事になります。
ここまでのお話で行政代執行は出来るだけ避けた方が良いという事は分かっていただけたと思います。
空き家の所有者が行政代執行を回避するためには、以下の対策が有効となります。
空き家を所有している方は、まず行政代執行の対象にならないようにすることが一番手っ取り早い回避策になります。
つまり特定空き家と認証されないように定期的に空き家を点検し、必要な修繕を行うことで、
建物の老朽化を防ぐようにしましょう。
これにより、倒壊のリスクや衛生問題を未然に防ぐことができます。
空き家の管理については、以前のブログで詳しくお話しておりますので、詳細はこちらからご確認ください。
▼ブログ記事:放置しておくだけは危険!空き家管理のコツ
定期的なメンテナンスが難しい方は、空き家を放置せずに、
売却・賃貸・解体と言った手法を検討してみることも良いでしょう。
売却することで所有権を移転できますし、賃貸とすることで入居者による管理が期待できます。
解体は費用が発生しますが、前述した通り、
行政代執行で発生する費用の方が一般的に高額となってしまいますので、先に手を打った方がはるかに良いです。
また解体は特定空き家に認定されてからも問題なく行えますが、
売却・賃貸の場合は特定空き家に認定されてしまうと買い手・借り手が見つかりにくくなってしまいますので、
早めに検討するようにしましょう。
先の2つの手法は主に特定空き家に認定される前の回避策になりますが、特定空き家に認定されてからは
問題となっている箇所を修繕・改善するのが行政代執行を回避する一番の手法になります。
これまでお話してきたように、行政代執行が行われてしまうと所有者にデメリットがとても大きいです。
面倒でも、費用が掛かろうとも、なるべく早急に問題解決するようにしましょう。
もし何かしらの理由で早期の修繕・改善が難しい場合は、対応する意思があることを、
具体的な計画とともに行政に届け出ることで、行政代執行を延期してもらえる可能性があります。
速やかに行政に確認することをお勧めします。
また、空き家を所有し続ける限り、修繕・改善はその場限りの手法であってはいけません。
継続して問題が発生しないように対策し続ける必要があることを念頭に置きましょう。
空き家の行政代執行は、所有者が適切に管理を行わない場合に自治体が強制的に措置を取る制度です。
倒壊の危険や衛生問題、景観の悪化を防ぐための最終手段となりますので、
空き家の所有者はなるべく行政代執行が行われないように対策しなくてはいけません。
もし対応が難しい場合は、売却・賃貸・解体なども回避策になり得ますので、
早めに不動産会社に相談するようにしましょう。
私たち「みどり不動産」は空き家と空き地、相続物件の売却に特化した八王子市の会社です。
いつでも不動産の相談を受け付けておりますので、
『有効活用していきたいけど、不動産のことは全く分からない…』
『八王子市周辺の不動産のことについて教えてほしい』
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ご不明な点がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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