2024-11-21
前回のブログでは「相続・贈与・譲渡の違い」について詳しくお話いたしました。
▼▼ 前回の記事はこちら ▼▼
譲渡・相続・贈与、どれが最適?不動産の引き継ぎ方法を徹底比較!
その中で、贈与税について少しお話いたしましたが、これまであまり触れてこなかった内容ですので、
今回のブログで主に税金の計算方法について詳しくお話していこうと思います。
まず贈与税とは、「個人から財産をもらった際に課される税金」のことです。
例えば、親が子どもに土地や現金を渡す場合、一定の条件を超えると贈与税がかかります。
贈与税は相続税と同様に、財産が特定の人に偏ることを防ぎ、税の公平性を保つ目的で設けられた制度です。
贈与税の計算は、以下の3ステップで行います。
例えば贈与された財産が1000万円の場合、
1000万円から基礎控除額110万円を引いた890万円に対して税率がかかってきて贈与税が決定します。
また贈与税は累進課税制度が採用されており、贈与額が大きいほど高い税率が適用されます。
不動産を贈与する場合は資産評価額から贈与額が決定していきますので、どうしても大きな金額になってしまいます。
さらに贈与の対象によって税率も変わってきますので、これについて詳しく話していきます。
贈与は税率を計算する際に「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の2種類に分類され、
どちらに当てはまるかによって税率が変わってきます。
次のような贈与の場合、一般贈与財産として扱われます。
一般贈与財産にかかる贈与税の税率は下記の表です。
このあと特例贈与財産の話もしますが、一般贈与財産の場合は特例贈与財産に比べて税率が高くなっています。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | - | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
例えば2000万円の贈与を受けた場合、贈与税の計算式は、
贈与税 = (2,000万円 - 110万円) × 50% - 250万円 = 695万円
となり、695万円の贈与税を納付しなければいけません。
特例贈与財産として扱われるのは、18歳以上の子や孫が直系尊属から贈与を受けた場合です。
特例贈与財産の場合は、税率は下記のようになります。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | - | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
特例贈与財産として同じように2000万円の贈与を受けた場合も計算してみると、
贈与税 = (2,000万円 - 110万円) × 45% - 265万円 = 585.5万円
特例贈与財産としての贈与の場合は贈与税が585.5万円と、
同じ金額の贈与にもかかわらず一般贈与財産の時と比較して100万円以上の差が生まれることが分かります。
実際の贈与では、一般贈与財産と特例贈与財産の片方が適応されるのではなく、両方が適応するケースも存在します。
例えば18歳以上の方が ①自分の配偶者の父親 ②自分の父親 の両方から同年に贈与を受けた場合は、
両方の税率を考慮して計算を行い贈与税を納めなくてはいけません。
ややこしいのは、このケースはそれぞれの贈与を個別に計算して下記のように計算を行い、
①②の合計額を贈与税として納付することになります。
分かりづらいと思いますので、具体例を出して計算していこうと思います。
例:①自分の配偶者の父親から一般贈与財産として1400万円、②自分の父親から特例贈与財産として2600万円
の贈与を受けた場合
①-1. すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算する。
→ (4,000万円 - 110万円) × 55% - 400万円 = 1,739.5万円
①-2. 上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)を計算する。
→ 1,739.5万円 × (1,400万円 / 4,000万円) = 608.8万円
②-1. すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算する。
→ (4,000万円 - 110万円) × 50% - 415万円 = 1,530万円
②-2. 上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)を計算する。
→ 1,530万円 × (2,600万円 / 4,000万円) = 994.5万円
つまり、この場合は 608.8万円 + 994.5万円 = 1,603.3万円が贈与税として納付する金額になります。
ちなみに、全く同じ金額を違う年に贈与を受けた場合、
一般贈与財産と特例贈与財産としてそれぞれの税率を基に計算することになります。
前項で計算した条件である、①自分の配偶者の父親からの贈与1,400万円、②自分の父親からの贈与2,600万円、
①②にかかる贈与税の合計を計算してみましょう。
① (1,400万円 - 110万円) × 45% - 175万円 = 405.5万円
② (2,600万円 - 110万円) × 45% - 265万円 = 855.5万円
①②の合計額はなんと1,261万円となり、同年に贈与を受けた場合と比べて約340万円も安くなることになります。
この税額の違いは計算方法もそうですが、控除金額による減税分の影響が大きいです。
節税を考えている方はなるべく複数年に分けての贈与を心がけましょう。
贈与税は、財産の移転を考える上で欠かせない知識です。
贈与を計画する際は、制度の仕組みや税率を正しく理解し、基礎控除や特例制度を活用することが大切です。
特に大きな資産である不動産を贈与する場合、贈与税以外にも登録免許税や不動産取得税が発生します。
さらに不動産の評価額は固定資産評価額を基準にするため、実際の市場価格とは異なる場合があったりもします。
不動産の贈与を検討している方は、不動産会社や税理士などに早めに相談し、必要な手続きやコストを把握し、
将来の相続や財産管理に向けて、早めの準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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