2025-07-01
高齢化が進む日本において、認知症の高齢者が所有する不動産に関する相談が増えています。
特に使っていない空き地について、「売却したいが所有者が認知症で手続きが進まない」といったケースが多く見られます。
結論から言えば、認知症の方が所有者でも、一定の手続きを経ることで売却は可能です。
ここで重要となるのが「成年後見制度」の活用です。
今回のブログでは、成年後見制度について触れながら所有者が認知症の方でも不動産を売却していく方法についてお話していきます。
まず成年後見制度についてお話していきます。
成年後見制度は、「認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分になった人を、法律面で保護・支援する」制度のことです。
本人に代わって財産管理や契約行為を行う「後見人」を、家庭裁判所が選任します。
たとえば、預貯金の管理や福祉サービスの利用契約、施設入所の手続きなど、日常生活に必要な法律行為も後見人がサポートします。
とくに、不動産の売却や賃貸借契約といった高額な財産取引には、本人の判断能力が明確であることが必要となりますが、判断能力が低下している場合、本人の意思表示だけでは契約が無効となるリスクがあります。
そうしたトラブルを未然に防ぎ、本人の権利や財産を守るために、この制度が重要な役割を果たします。
空き地や不動産を売却するためには、所有者本人が売買契約に同意し、署名・押印することが原則です。
しかし、認知症が進行して判断能力が不十分であると医師に診断された場合、契約行為そのものが法律上無効とされる可能性があります。
このようなときには、家庭裁判所へ成年後見人の選任申立てを行い、本人の代理として売却手続きを行ってもらう必要があります。
申立てにあたっては、本人の健康状態や資産状況を示す書類、医師による診断書などが必要です。
申立てを受けた家庭裁判所は、本人の状態や家庭状況などを審査したうえで、適切な後見人を選任します。
後見人が正式に選ばれるまでには、通常1~2か月程度かかることもあるため、売却のスケジュールには余裕をもって準備することが求められます。
成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があります。
任意後見は、本人がまだ判断能力を有している段階で契約しておく制度で、判断能力が低下したときに効力が発生します。
一方、すでに認知症が進んでいる場合は、通常「法定後見」が適用されます。
法定後見人が不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要になるのが一般的です。
これは、後見人による財産処分が本人の不利益につながらないようにするための重要なチェック機能です。
たとえば、売却価格が相場に比べて不当に安くないか、売却の必要性が本当にあるかどうかなど、裁判所が慎重に判断します。
許可が下りるまでには一定の時間がかかることもあるため、売却を急ぐ場合には、早期に後見制度の利用を検討することが望まれます。
後見人には、配偶者や子どもなどの親族が選ばれるケースが多いものの、家庭内の利害関係や対立がある場合は、中立的な立場の第三者が選任されることもあります。
たとえば、弁護士、司法書士、社会福祉士といった専門職の後見人が選ばれることで、公平性や法的な正確性が確保されやすくなります。
後見人に課せられる責任は重く、空き家・空き地の売却手続きにおいても、本人にとって最善の利益となるよう配慮しながら行動する義務があります。
また、定期的に家庭裁判所に対して財産の管理状況を報告する義務もあるため、実務能力と誠実性が求められます。
認知症の所有者がいる空き地でも、成年後見制度を活用すれば売却は可能です。
成年後見制度の利用には、一定の手続きや期間が必要であり、すぐに売却を進めたい場合には時間的な制約が生じます。
そのため、認知症の兆候が見られた段階で、早めに対策を講じることが重要です。
大切なのは、本人の財産を守るために正しい手続きを踏むこと。
時間がかかる手続きではありますが、制度を理解し、専門家の協力を得ながら進めることで、円滑な売却を進めていきましょう。
私たち「みどり不動産」は空き家と空き地、相続物件の売却に特化した八王子市の会社です。
いつでも不動産の相談を受け付けておりますので、
『有効活用していきたいけど、不動産のことは全く分からない…』
『八王子市周辺の不動産のことについて教えてほしい』
『○○について具体的に相談してみたい』など、
ご不明な点がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
不動産売却の基本:スムーズに進めるためのポイント 不動産を売却するというのは、多くの人にとっては生涯に一度か二度の大きな取引です。しかしそのプロセスは複雑であり、分からないところだらけで不...
2024-04-19
不動産を売る際の価格形成に重要になってくるのは、「いつ売るか」というタイミングです。市場が変動する中で、不動産を最適な時期に売却することは、利益を最大化する上でとても重要なことです。『あの...
2024-04-22
『空き家を売りたいけど相当古い物件だからリフォームしなきゃ売れないよね…』築古物件の売却を考えるお客様は、このようなお悩みを持っている方が非常に多いです。確かに、リフォームして外見がキレイ...
2024-04-26
不動産を売却する際には、その価値を正確に把握することが非常に重要です。そのために売主様はまず「査定」を行う必要があります。これは不動産会社が行う物件の評価プロセスのことで、査定には主に「机...
2024-05-01