2024-06-14
前回までのブログ記事では「空き地を駐車場として土地活用する」方法について2回に分けてお話してきました。
まだご覧になっていない方はコチラからご確認ください。
▼ブログ記事:空き地を収益化!駐車場経営のステップと成功の秘訣
▼ブログ記事:不動産のプロが教える!月極駐車場とコインパーキングの違い
今回は、「空き地を太陽光発電として土地活用する」方法についてお話していこうと思います。
太陽光発電は再生可能エネルギーとして最も知られているもので、国として力を入れている発電方法の一つです。
しかし最初にお伝えしておきますが、
太陽光発電として空き地を活用しても収益を上げるのは現状難しいかもしれません。
その理由を太陽光発電の特徴と合わせてこれからお話していきます。
\お気軽にご相談ください!/
太陽光発電は、太陽の光を利用して電力を生成する再生可能エネルギーの一種です。
太陽光パネルを設置することで、太陽光を電気に変換し、ご自身の家庭で使用したり、
余った電力を電力会社に売電することができます。
環境に優しく、持続可能なエネルギーとして注目されています。
再生可能エネルギーにはバイオマス・水力・風力・地熱などの種類がありますが、
その中でも太陽光発電が最も個人で始めやすい発電方法になります。
太陽光発電の収益構造ですが、「固定価格買取制度(FIT制度)」というものが一定期間適用されています。
FIT(feed in tariff)制度は下記の図を見てもらうと分かりやすいのですが、
「再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する」制度です。
▼出典:経済産業省 環境エネルギー庁「固定価格買取制度とは」
太陽光発電は太陽光を利用して発電を行います。
化石燃料を使用しないためCO2排出量を増やさずに電力を生成できる発電方法です。
これは環境問題に優しいだけでなく、SDGsの「17の目標」の1つに掲げられている
「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に当てはまっているため、
国として政策で推進している発電方法でもあります。
そのため、他の土地活用の方法とは異なり、FIT制度が適応されることで極めて安定した長期間の収益が見込めます。
太陽光発電として土地活用をする場合、どのような立地・形状の土地でも可能で、
また利用者を集める必要がないのが他の活用方法と比較した大きなメリットとなります。
一般的な土地活用方法の1つであるアパート経営や駐車場運営などを考えて見ると、
どちらも立地が極めて重要であり、また必ず利用者を集めないと収益を上げることが出来ません。
それに比べて太陽光発電の場合は、必要な設備と売電の仕組みを整えるだけで
収益を上げることが出来るようになるため、どんな立地・形状の土地でも問題ありません。
ただし、太陽光発電は設置できる地目(土地の種類)が限られている点には注意が必要です。
太陽光発電を設置できるのは「宅地・山林・原野・雑種地」のみです。
農地などにはそのままではパネルを設置することは出来ませんので、
空き地をお持ちの方で太陽光発電を検討されている方は、地目を確かめてから準備を進めるようにしましょう。
地目についての詳しい分類方法は下記から確認できますので、ご興味がある方はご覧になってみてください。
▼出典:国税庁「土地の地目の判定」
\お気軽にご相談ください!/
まず当たり前のことになりますが、太陽光発電は日照条件に大きく依存します。
土地の日射量を十分に確認し、効率的に発電できる場所を選定することを最初に行わなければいけません。
周囲に高い建物や木がある場合は影の影響で発電量が落ちたり、
降水日数が多い地域だとそもそも発電出来る日自体少なくなってしまいます。
また、自然災害の影響を受けやすいのも注意が必要です。
台風により太陽光パネルが破損したり、豪雪により設備が不具合を起こしたり、
豪雨による土砂災害に巻き込まれたりすることが実際に起こっています。
自然災害は残念ながら防ぐことが出来ませんので、
施工販売会社や保険会社が提供している「自然災害補償」を活用してリスクを減らしていく工夫が必要です。
太陽光発電は他の土地活用の方法と比べて収益率が低めの手法になります。
原因はいくつかあり、1つ目はFIT制度が変更され、買取量に制限が出来たためです。
以前のFIT制度では、太陽光発電で発電したすべての電力を買い取ってもらうことが可能でした。
しかし、FIT制度が改正され、個人で発電する量にあたる「10kW未満」「10kW以上50kW未満」の発電設備で発電した電力は、全体の30%以上を自己消費した後の、残った電力のみを買い取ってもらえる余剰買取制に変更になりました。
そのため、発電量を増やしても自己消費量も同時に増やさなくてはならず、
そこまで大きな収益を得ることが難しくなってしまいました。
2つ目の理由は、買取価格が年々減少していることです。
FIT制度は買取価格を入札制度によって決定しますが、この価格が少しずつ減ってきています。
つまり同じ電力量を発電しても昔と比べて得られる収益が下がってきていることを意味します。
価格が減少しているのは、設備費用が減少してきたことで市場が拡大し、
電力会社各社の競争が激化してきていることが要因と言われています。
下図は経済産業省HPで見られる売電価格の推移表です。
2024年度の10kW未満の買取価格は16円/kWhですが、10年前の2014年度は30円/kWhでした。
ここ10年で約1/2まで減ってきています。
この売電価格は徐々に下げる価格目標が掲げられており、
当初は2025年度に11円/kWhまで下げる目標となっていましたので、もう少し価格が下がる可能性が高いです。
価格推移など詳しくは経済産業省のHPで確認することが出来ます。ご興味ある方はこちらからご確認くださいませ。
▼出典:経済産業省 環境エネルギー庁「買取価格・期間等」
また、忘れてはいけないのが、FIT制度で固定価格買取をしてもらえる期間は定められているという事です。
通常個人で売電する発電量(10kWh未満)だと期間は10年間と定められているため、
10年を経過するとFIT制度の対象外となってしまい(卒FIT)、売電価格が急激に下がってしまいます。
なぜ価格が下がるのかというと、FIT制度は国が太陽光発電を推奨するために
「再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)」を国民から徴収しており、
FIT制度適応期間は通常の売電価格にそれがプラスされているためです。
卒FITすると下がるのではなく、FIT制度適応期間が高めに設定されている形です。
ちなみに卒FIT向けの電力買取プランは各電力会社が設定しており、
大体が7円~9円/kWh程度の価格設定になっています。
3つ目の理由は、駐車場運営と同様に節税効果が期待できないためです。
アパート経営などの賃貸住宅経営であれば土地に居住用建物が建っているため、
「住宅用地の特例」が適応され固定資産税や都市計画税の節税となります。
しかし、太陽光発電や駐車場運営では、居住用建物がないため特例が受けられず、
通常通りの固定資産税を支払うことになります。
以上の理由などから、太陽光発電は他の土地活用の方法と比べて収益性が薄く、
ローリスクローリターンの活用方法と言えるでしょう。
空き地を太陽光発電として活用することは、環境保護と収益の両方を実現する優れた方法です。
太陽光発電は安定的に収益を得ることができ、自身で電力を活用できるメリットもありますが、
他の土地活用と比較すると収益性は決して高くありません。
空き地をどのように活用したいのか、目的をまず定めたうえで、
不動産のプロに相談して適切な土地活用の手法を考えていくようにしましょう。
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