2024-07-27
不動産の”競売”物件というのを聞いたことはありますでしょうか?
不動産の競売物件とは、
「債務者が債務を返済できない場合に、裁判所が債権者の請求に基づいて売却する」不動産のことを指します。
通常、この時の「債権者」は住宅ローンを貸し出している銀行で、
「債務者」は住宅ローンを借りている所有者のことです。
競売にかけられると、債務者は勝手に不動産を売却することが出来なくなります。
競売物件を購入・売却するときは、
不動産会社を仲介して行う通常の不動産売買とは異なるプロセスで進んでいきます。
今回のブログでは、そんな不動産の競売について詳しくお話していきます。
不動産の競売物件を売買することはメリットもあれば当然デメリットも存在しますので、
購入者目線と債務者(元所有者)目線の2つに分けて両者を説明していきます。
まず購入者のメリットですが、やはり一番は相場価格より安く購入できることでしょう。
一般的には、相場価格の3割引き程度で購入することが出来ます。
ただし、安く価格が設定されているのは、競売物件にはデメリットが多く存在するため、
価格を安くしないと購入者が現れにくいからです。
安いからと言って価格だけを見て購入を決めると後悔しますので、
必ずこれからお話しするデメリットを把握したうえで購入を検討しましょう。
では購入者のデメリットを話していきますが、まず購入前に物件を内覧することが出来ません。
購入希望者は「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の「三点セット」と呼ばれる資料のみを参考に
物件購入を検討することになります。
三点セットに記載されている情報は主に以下のような内容です。
あと、競売で購入した物件は引き渡し後に問題が生じたとしても、契約不適合責任を追及することが出来ません。
通常の売買で購入した物件であれば、何か問題があった際は売主に契約不適合責任が発生しますので、
買主は売主に修理費用や追加工事などの請求をすることが出来ます。
一方で、競売物件では何か問題があった際でも債務者に修理費用などを請求することは出来ず、
負担は全て購入者が負うことになります。
これは競売の性質上、競売で購入した物件には売主が存在しないことになりますので、
契約不適合責任を負うべき人が存在しないためです。
物件の内覧が出来ず三点セットでしか情報を確認できませんので、
将来的な修繕費用の負担が購入者に発生しやすいことは念頭に置いておきましょう。
契約不適合責任については、過去のブログ記事で詳しくお話しておりますので、
まだご覧になっていない方はこちらからご確認ください。
▼ブログ記事:契約不適合責任について:瑕疵担保責任との違い
▼ブログ記事:契約不適合責任について②:免責の条件と売主が注意するポイント
また、競売に成功し購入できたとしても、すぐに引き渡しが行われない可能性があるのも注意が必要です。
これは競売で行われるのはあくまで所有権移転の登記手続きまでであり、
債務者が物件を引き渡さなかった場合は購入者自身が立ち退き交渉や手続きを行わなくてはいけないためです。
交渉しても引き渡しが行われない場合は裁判所に手続きを行い、
最悪の場合は強制執行が行われて立ち退きが行われないと居住することが出来ません。
時間もかかりますし、裁判所・立ち退きの費用も全て購入者負担となりますので、
競売物件の購入にはこのようなリスクがあることも事前に知っておきましょう。
債務者が競売で不動産を売却するメリットですが、これは基本的にないと考えてください。
一方で債務者にとってのデメリットはとても多く、
一番は市場で売却するより高く売れないため損をする可能性が高いことでしょう。
また、競売物件は物件情報がネットで一般公開されてしまいますので、
競売にかけられている物件であると近隣住民にバレてしまいます。
競売は債権者が債務を回収するために行う最終手段であり、債務者が望んでするようなものではありませんので、
債務者は出来るだけ競売を回避できるように動きましょう。
また、先ほどお話した三点セットは裁判所に行かないと確認することは出来ませんが、
どのような競売物件が有るかはこちらのHPから全国分見ることが出来ます。
ご興味ある方は一度ご確認してみてください。
▼競売物件HP:「不動産競売物件情報サイト」
不動産競売は債務者が債務を返済できない場合に行われると前述しましたが、
債務(住宅ローン)が支払えなくなってもすぐに執行されるわけではありません。
一般的には、不動産競売は下記のような流れで進行していきます。
競売を途中で止めてもらうには、債権者から競売の申し立てを取り下げてもらう必要があります。
法的に所有権が移動するのが落札者が代金を支払った後になりますので、それまでに滞納している債務を支払うか、
資金調達の別の手段を債権者に承諾してもらえれば競売のキャンセルが可能ではあります。
しかし基本的に落札者が決定した後のキャンセルは難しく、
「開札期日の2日前」までが事実上の取り下げ期日になります。
これは競売開始の通知が届いてから大体6ヶ月後になりますので、
競売開始の通知が届いたら決して無視することなく、債権者へ連絡することから始めましょう。
交渉によっては、債務の分割払いなどの契約で競売申し立てを取り下げてもらえることもありますので、
一括で支払えなくても諦めてはいけません。
不動産競売は、通常の不動産取引とは異なるプロセスとリスクがありますが、
うまく利用すれば市場価格よりも安く物件を購入することが可能です。
ただし、安価な分、相応のデメリットも存在しますので、
不動産売買の初心者の方が気軽に手を出すのはお勧めしません。
よく吟味し、しっかりと知識を蓄え準備したうえで競売物件の購入を検討しましょう。
また、債務者でローンの滞納が続いてしまっている方は、競売による不動産の売却にはメリットが存在しませんので、
可能な限り競売を回避するために速やかに対処しましょう。
競売を回避する方法の1つとして、「任意売却」という手段もありますので、
次回のブログにて詳しくお話していければと思います。
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