2025-06-01
住宅を売却する際、建物の状態や周辺環境が大きな影響を与えることは広く知られています。
しかし、見落としがちなのが「隣家の状態」です。
とくに、倒壊寸前のような老朽化した空き家が隣にある場合、自宅の売却活動に深刻な悪影響を与える可能性があります。
今回のブログ記事では、不動産売却に隣家の状態が与える影響と出来る対策に焦点を当ててお話していきます。
購入希望者は、物件そのものの状態はもちろんのこと、周辺環境にも非常に敏感です。
特に住宅の隣に老朽化が進んだ空き家がある場合、その存在が購入検討の大きなマイナス要因になり得ます。
『防犯面での不安がありそう…』『見た目の印象が悪いな…』『建物の一部が崩れたり、火災が発生したらどうしよう…』といった懸念が自然と生じてしまうからです。
このようなマイナスイメージを持たれてしまうと、せっかく物件情報を見て興味を持った人でも、内覧の申し込みにまで至らないケースが増えてしまいます。
また、内覧に来たとしても、『この空き家が隣にある以上、この価格ではちょっと…』と、購入希望者から強い値引き交渉を受ける可能性も否定できません。
買主の心理に与える影響は大きく、物件全体の魅力を大きく損なってしまうリスクがあります。
不動産会社が物件の査定を行う際には、土地や建物の状態に加えて、周囲の環境も評価対象になります。
特に隣接する建物が老朽化していたり、倒壊のリスクがあるような状態だと、物件の安全性や将来的なトラブルへの不安材料として捉えられてしまいます。
例えば、「購入者からクレームが出る可能性がある」「売却後に隣家とのトラブルに発展するおそれがある」と判断されると、そうしたリスクを反映させて査定額が下がることも十分にあり得ます。
これは、どれだけ自分の物件を丁寧に手入れしていても、隣家の状況次第で相場よりも不利な価格評価を受けてしまうという現実を示しています。
それでは売却活動前に出来ることはあるのでしょうか?
まず隣家が長期間放置されている空き家で、明らかに管理が行き届いていないと感じられる場合には、行政機関の空き家対策窓口に相談するのが有効です。
近年では、空き家対策特別措置法に基づき、倒壊や衛生面で危険性があると判断された空き家は「特定空き家」として指定され、行政からの指導や勧告、最終的には命令が下されることもあります。
空き家対策特別措置法や特定空き家については、前のブログで詳しくお話しております。
▼ブログ記事:空き家対策特別措置法の改正とは?:改正の背景と内容を徹底解説
▼ブログ記事:避けたい"特定空き家"指定:その基準とリスク
また、隣家の所有者が分かっている場合には、直接コンタクトを取り、建物の修繕や草木の手入れなどを依頼するという手もあります。
もちろん、個人での対応が難しい場合は、不動産会社や地域の自治会など第三者の助けを借りて交渉を進めるのも現実的な選択肢です。
売却活動を本格的に始める際には、不動産会社にも隣家の現状を正直に伝え、そのリスクをどう説明すれば買主の不安を軽減できるか、あらかじめ方針を共有しておくことが大切です。
たとえば「行政による調査が進行中」「今後改善の見通しがある」といった前向きな情報があれば、それを丁寧に伝えることで買主の受ける印象も和らぎます。
隣に老朽化した空き家がある状態で物件を売却する場合は、金銭面での損失だけでなく、将来的なトラブルの火種となる可能性も見据えて行動する必要があります。
たとえば、売却後に「隣家の一部が崩れて車を傷つけた」「異臭や害虫被害が出ている」といった苦情を購入者から受ける事態は、想定しうる現実的なリスクです。
こうした問題を未然に防ぐためには、売却時に隣家の状況を包み隠さず、購入希望者に対して誠実に情報を開示する姿勢が必要です。
売主がリスクを正しく共有しておくことで、購入者が将来的な問題に備える判断ができるようになり、結果的にはトラブル回避につながります。
もし問題を隠したまま売却が成立してしまうと、のちに「契約不適合責任」を取る必要が出てくる可能性もありますので十分に注意してください。
契約不適合責任については、こちらのブログからご確認ください。
▼ブログ記事:契約不適合責任について:瑕疵担保責任との違い
自宅の売却を考えるとき、隣家の老朽化は決して無視できない重要な要素です。
価格や売却スピードに影響を及ぼすだけでなく、将来的なトラブルの火種にもなり得ます。
隣家の問題が気になる場合は、早めに専門家や行政に相談し、適切な対策を講じることが売却成功への近道となるでしょう。
私たち「みどり不動産」は空き家と空き地、相続物件の売却に特化した八王子市の会社です。
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