2025-06-04
以前のブログ記事にて、「建ぺい率」とは何かのお話をいたしました。
▼ブログ記事:それって建ぺい率?容積率?:知っておきたい不動産の基本用語集②
建ぺい率とは都市計画法で定められている「敷地面積に対する建築面積の限度割合」のことでしたが、実は建ぺい率がオーバーしている不動産も多々存在します。
オーバーしている理由は多々ありますが、このような不動産は現在の都市計画法に違反しているため、売却時に買い手が見つかりにくくなる傾向が高いです。
特に金融機関の住宅ローンが使えない場合も多く、購入のハードルが上がるのが実情です。
しかし、いくつかの対処法を検討すれば、こうした物件でも売却を成功させることは可能です。
今回のブログでは、「隣地を買い取る」「減築する」「不動産会社に買い取ってもらう」という三つの具体的な方法に絞り、建ぺい率オーバー物件の売却ポイントをご紹介していきます。
1つ目は隣地を買い取ってから不動産を売却する方法です。
建ぺい率は前述した通り、敷地面積に対する建物の建築面積の割合であるため、敷地面積を増やすことができれば建ぺい率オーバーの状態を解消できる可能性があります。
たとえば、建ぺい率が60%に制限されているエリアで、敷地が100㎡にもかかわらず建物の建築面積が70㎡の場合、建ぺい率は70%となり、規定を10%上回っている状態になります。
このようなケースで隣地を20㎡買い足して敷地を120㎡にできれば、同じ建築面積でも建ぺい率は58.3%となり、適法な状態に戻すことができます。
もし隣地の所有者が売却に応じてくれる場合、敷地全体の面積が増えることで、建ぺい率の制限内に収められる可能性があります。
結果として、違反建築物ではなくなるため、購入希望者にとっても安心材料となり、住宅ローンの利用も可能になるケースがあります。
これは、金融機関が建ぺい率オーバーの物件に対して融資を避ける傾向があるためで、適法な状態に改善することで、買主にとって資金調達の選択肢が広がることを意味します。
ただし、隣地の取得は必ずしも出来るとは限りませんし、もちろん交渉や費用が必要となることには注意が必要です。
隣地の所有者が価格を吊り上げてくる可能性もあるため、複数の不動産業者や専門家に相談し、投資として見合うかどうか慎重に判断するようにしましょう。
敷地面積を増やすのではなく、逆に建物の一部を取り壊して建ぺい率を基準内に収める「減築」という方法も有効です。
違反状態を解消できれば、建物の評価が安定し、購入者側も安心して検討できるようになります。
たとえば、既存の建物の一部を切り離すことで建築面積を減らし、基準をクリアすることが可能です。
具体的には、玄関ポーチや車庫、ベランダなど、建ぺい率に算入されている部分を縮小または撤去する方法があります。
減築後には建築確認申請などが必要になるケースもあるため、事前に建築士と相談しながら計画を立てることが不可欠です。
減築には工事費用や手間がかかりますが、住宅ローン利用が可能になることで、購入者の幅が広がり、売却のスピードや価格面で有利に働くこともあります。
特にエンドユーザーへの売却を考えている場合は、減築後に再販売するという選択肢は検討に値します。
現状のままでは検討外となってしまう買主層も、適法な状態であれば積極的に内見・購入検討を進めやすくなるからです。
上記でお話した2つの方法は時間とコストがかかってしまう方法ですが、時間やコストをかけずに早期売却を目指すなら、不動産会社に直接買取を依頼する方法が有効です。
不動産会社による買取は、仲介による売却と比べて価格が低くなる傾向がありますが、現況のまま売却できる点、煩雑な手続きを省ける点が大きなメリットです。
一般的に仲介の場合は、契約後に建ぺい率違反が発覚するとトラブルになるリスクがありますが、買取業者はこうした物件のリスクも織り込み済みで対応してくれるため、心理的な負担も軽減されます。
他にも仲介による売却と買取の違いはたくさんありますので、詳しい違いについてはこちらのブログ記事からご確認ください。
▼ブログ記事:不動産売却vs買取:あなたに適しているのはどっち?
建ぺい率オーバーの不動産は、通常の物件に比べて売却が難しく感じられるかもしれませんが、「隣地の取得」「減築」「不動産会社への売却」といった対処法を検討することで、売却の可能性を大きく広げることができます。
売却方法によって費用や労力、売却価格に違いが生じるため、それぞれのメリット・デメリットを比較し、目的に応じた選択をすることが大切です。専門家の意見も参考にしながら、最適な売却方法を見つけていきましょう。
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