2025-04-30

前回までのブログ記事では、「旧耐震基準の物件」について詳しくお話してきました。
▼ブログ記事:不動産媒介契約の選び方
振り返りになりますが、旧耐震基準とは、1981年6月以前に適用されていた日本の建築基準法に基づく耐震基準です。
この基準では震度5程度の地震に耐えられる構造が求められていましたが、
新耐震基準が施行されて以降は、震度6強~7程度の地震にも倒壊しない設計が求められるようになりました。
そのため、1981年以前に建てられた住宅は「旧耐震物件」と呼ばれ、
地震への耐性に不安があると見なされることがあります。
今回のブログでは、そんな旧耐震物件の売却について詳しくお話していきたいと思います。
まず結論から申し上げますと、一般的に旧耐震物件は新耐震物件に比べて買主の関心が低く、
売却が難しいとされています。
その主な理由は以下の4点です。

まずは現状の耐震性能を把握するために、耐震診断を実施することをお勧めいたします。
市区町村によっては無料または補助金付きで耐震診断を受けられることがありますので、
地元自治体の制度を活用するとよいでしょう。
耐震診断の結果は、買主に対して物件の安全性を説明する有力な資料となり、
「どの程度補強が必要なのか」が明確になるため、安心感を与えることができます。
また、診断済みであるという事実自体が信頼性につながり、他の物件との差別化にもなります。
診断の結果、耐震性が不足していると判断された場合は、補強工事を行う選択肢もあります。
補強方法には、壁の補強、基礎の補強などがあります。
費用は工事内容によって異なりますが、補強済みであることで「すぐに住める安全な家」として売り出すことができ、
売却までの期間短縮にもつながる可能性があります。
補強が難しい場合でも、その費用の見積もりを提示した上で、
「補強費用分を考慮した価格設定」を行えば、買主が安心して検討しやすくなります。
リフォームやリノベーションを前提に物件を探している買主にとっては、
旧耐震物件でも魅力的な選択肢となり得ます。
特に、物件価格が抑えられている点や、自分好みに設計できる自由度の高さは、
若年層や投資目的の購入者にも評価されます。
「既存の構造を活かしつつ、おしゃれに再生できる」といった再販価値や、
DIY志向の買主に対しては「手を加える楽しみがある」という視点でアピールするのも有効です。

旧耐震基準の物件は、築年数が古く、内部の劣化も進んでいるケースが少なくありません。
売却が長期化したり、リフォームしても採算が合わないと判断される場合は、
思い切って「更地にして売却」や「買取業者への売却」を選択肢に入れるのも一つの方法です。
建物を解体して更地にすることで、買主は「新築を自由に建てられる土地」として検討しやすくなり、
需要が高まる場合もあります。
ただし、解体費用がかかるため、予算とのバランスを考慮する必要があります。
解体して売却するメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しくお話しています。
▼ブログ記事:空き家の”除却”って何?:近年増加している資産活用の選択肢
また、早期売却や現金化を重視する場合には、買取を行える不動産会社に相談するのも有効です。
仲介での売却に比べると価格はやや下がる傾向にありますが、
内見対応や契約トラブルのリスクを回避できるメリットがあります。
特に、古家付き土地として再販を前提にする業者であれば、旧耐震物件でもスムーズな取引が期待できます。
買取と売却の違いについてはこちらをご確認ください。
▼ブログ記事:不動産売却vs買取:あなたに適しているのはどっち?
旧耐震基準の物件が売却しづらいのは確かですが、適切な対応をすれば売却は十分可能です。
耐震診断や補強の実施、販売戦略の工夫などを通じて、物件の魅力を最大限に引き出しましょう。
築年数だけにとらわれず、買主にとっての「価値」を明確に伝えることが成功への鍵となります。
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